かゆい!!その痒みは食べ物が原因では?

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

本日よりヒルズの療法食が値上がりとなりますのでご了承ください。

 

気温が上がり、この時期からだんだんと増えてくるのが皮膚と耳の病気です。

それはなぜかというと、単純に気温や湿度が上がって皮膚や耳道内の環境が悪化することもありますが、5月頃からアトピー性皮膚炎の原因となるハウスダストマイトが増える時期だからなんです。

しかし最近は、一年中あちこち体中をかいてるワンちゃんもたくさんお見かけするようになった気がしますが、こういったケースでは食事の影響も考えないといけません。

 

犬のアレルギー性皮膚炎には大きく分けて2つのタイプがあります。(ノミなどの特殊なアレルギーを除く)

1.環境アレルゲンに対するアトピー性皮膚炎(原因はハウスダストの中にいる小さなダニ、カビや花粉など)

2.食物の中のタンパク質に反応する食物アレルギー(原因はお肉や小麦などの食事中のタンパク質)

 

今回ブログで取り上げようと思ったのは、食べ物の何かの成分に反応してかゆみが出てしまう食物アレルギーについてです。

これは診断が難しく、なかなかこれまでもビシッと診断ができてなかったことが多いように感じてます。

アレルギー検査でズバッと診断できるものでもなく、また除去食というアレルギーを起こさない食事の選択が難しいからだと思いますが。。。

愛犬のかゆみでお困りの方などにはぜひ読んでいただければと思います。

 

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の症状の違い

症状だけでは区別は難しいというのをまず前提にして書きますが、実はアトピー性皮膚炎と食物アレルギーでの病変部についていくつか新しい知見が得られています。

 

動物アレルギー検査株式会社さまの資料よりお借りしました。

 

上図は、動物のアレルギー検査専門機関として、最新のアレルギー検査を提供してくださっている「アレルギー検査株式会社」の資料よりお借りした図です。

アトピー性皮膚炎も食物アレルギーも、赤色で図示された「わきや内股、耳や足先」などの部分にかゆみが出るのは共通なのですが、緑色で図示された「背中や肛門周囲、目や口唇(くちびる)」は食物アレルギーに特徴的な部位と言われています。

 

アレルギー検査株式会社さまの資料よりお借りしました。

 

もちろん例外はあって、ウエスティでは背中の皮膚病変がアトピーでも出やすいなどの報告もありますので、一概にすべてに当てはまるわけではありませんが、上図のように目や唇、背中や肛門周囲、足先に強いかゆみや脱毛がある場合、食物の関与も疑って、副食として与えているおやつや人間の食べ物などをまずやめてみてください。

実際に私のみた患者さんでも、ついついごほうびに与えてたパンをやめたらすごく皮膚が良くなった、大好きだったおやつをやめただけでずっと悩まされていた皮膚病が出なくなったというワンちゃんもいますので、まず色々と食べさせているものを最小限にしてみてください。

 

こんなときは食物アレルギーを疑いましょう

食物アレルギーを持っているワンちゃんには、次のような特徴があると言われています。

もし以下のような特徴があてはまるようであれば、うちの子は食物アレルギーがあるのかも…と疑ってみてください。

 

1.1歳未満の子犬時代から耳や足をかゆがってなかったか?

食物アレルギーのワンちゃんは、多くは1歳未満の若い時期から、外耳炎(耳が赤くなる)や肢端炎(手足をなめる)などの症状が出ていることが多いと言われています。

若いときにこのような症状がなかったかどうか、思い出してみてください。

アトピー性皮膚炎の子は、もう少し遅い時期(2歳以降)での発症が多いと言われています。

 

2.一年中(冬場でも)かゆがってないか?あるいは季節によってかゆみに違いがあるか?

アトピー性皮膚炎の子は、今の時期から夏の終わりまでの時期に皮膚のかゆみや皮膚病が悪化する傾向があります。

一方で食物アレルギーは食べ物に対して反応するわけですから、一年中(冬場の寒い時期でも)かゆみが続く傾向にあります。

 

3.背中や肛門周りなどをかいたりこすったりしてないか?

上で書いたように、アトピー性皮膚炎と病変が異なる部位として、食物アレルギーでは背中や肛門周りの病変が出る場合があります。

 

4.うんちの回数が多くないか?

食物アレルギーの子は、一日の排便回数が3回以上とたくさんうんちをする傾向があるとも言われています。

 

 

かゆみに悩まされていて、このような特徴にあてはまる場合は、一度当院にご相談に来てください。

その際は、今ワンちゃんが口にしている食べ物をすべてリストアップして教えていただけるとベストです!

フードならそのメーカー、名前もですが、大事なのはその原材料表示です。

 

フードの裏の「原材料表示」をもとに療法食を決めますので、この部分がわかるものをお持ちください。

 

おやつや人間の食べ物についても、ご家族の誰かがこっそり与えていないか?お散歩中に何かをもらってないか?詳細にお話をお伺いすることが第一歩となります。

アレルギー検査株式会社様のアレルギー検査(IgE測定&リンパ球反応試験)も、費用はかかりますが診断の一つのツールとなります。気になる方はご相談ください。

積極的に使用したいアレルギー用フードが一つ欠品となりまして。。。これには困りましたが…