獣医療の進歩に驚いています・・・新しいアトピー用注射薬『サイトポイント』

2019年10月16日 (水)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

今年もノーベル賞の時期となりまして、昨年の今頃は本庶先生のノーベル医学生理学賞受賞に沸いたのを思い出します。

 

現在ヒトの医学の創薬の分野は、免疫学の研究を礎に様々な新薬が開発されています。

その中の1つに「抗体医薬」というジャンルがありますが、ついに動物用の薬でも初めて抗体医薬が承認され、今年中には発売される見込みとなりました。

まさか私たち獣医師が、動物を相手にモノクローナル抗体製剤を注射する時代がもうすぐそこに来るとは・・・

獣医療の進歩には現場の私たちですら驚かされています。

 

zoetis様(米国)サイトよりお借りいたしました。

 

簡単に説明してみます。

1.研究によってガンやアレルギーなどが起こるメカニズムの細かいところ(どんなタンパク質が関わっていて、細胞の表面にあるどのボタンに結合して反応が起こるのか)が突き止められました。

2.その反応を引き起こすタンパク質に対して、反応が起こる前に未然にくっつけてしまう薬(抗体と言います)を体内に入れます。

3.そうすると原因タンパクが先に薬(抗体)とくっついてしまい、ボタンにはくっつかなくなりますので、そのピンポイントの反応だけを抑え込むことができるのです。

 

うーん。。。うまく伝えられてないでしょうか。

起こって欲しくない反応だけをピンポイントに抑え込むので、あらゆる臓器に対する悪影響が出にくく、逆に抑えて欲しくない有益な反応はそのまま残せるということです。

副作用はとても少なく、効果はとても期待できる治療と言えると思います。

 

 

このたびゾエティスから新発売される新しい薬は、『サイトポイント』という注射薬です。

アトピー性皮膚炎のかゆみを、月1回注射することで抑えてくれるかもしれない画期的な製剤です。

海外ではすでに発売されていますが、ついに日本国内でも年内に発売される予定という発表がありました。(正式な発売日はまだ未定です)

 

余談ですが、モノクローナル(monoclonal)抗体(antibody)製剤は、そのアルファベットを取って「〜マブ(-mab)」という名前がつく決まりになっています。

サイトポイントは、ロキベトマブという名前のワンちゃん専用に開発された薬なのです。

実は本庶先生の発見した『オプジーボ』という薬も、ニボルマブというモノクローナル抗体製剤なのですから、ノーベル賞だと世間を騒がせた薬と似たような薬が、ワンちゃん専用に開発されたんですから驚くばかりです。。。

今回はアトピー用製剤ですが、こういった薬の本命は、ガンや自己免疫疾患への適応だと思いますから、ゾエティスさんの研究開発には今後も期待したいですね。(ヒトの薬みたいに薬価がものすごく高いと手が届かなくなるんで、そういう意味では色々難しいんでしょうけど・・・)

 

サイトポイントがどのようにしてアトピーのかゆみに効くのか・・・

簡単に言うと、皮膚表面で起こったアレルギー反応から、神経細胞にかゆみを伝える信号物質である「インターロイキン(IL)-31」というタンパク質が放出されますが、このタンパク質をピンポイントに捕まえて仕事をさせないのです。

 

デュピクセントの作用機序の図をサノフィ社さんからお借りしました。

 

ヒトのアトピーの治療では、従来のステロイドなどの治療で効果が認められない中等度〜重度のケースで、『デュピクセント(デュピルマブ)』という注射薬が発売され、画期的な功績を上げているようです。

今回のサイトポイントが抑える相手は、デュピクセントのIL-4とIL-13ではなくIL-31だけですので、デュピクセントのように皮膚バリア機能を改善するような効果はなさそうなので、まったく同じような期待をしていいかどうかは半信半疑でいますが、いずれにせよこういった新しい治療オプションが加わるのは本当にありがたいことですね。

米国のzoetis社のサイトでは、他治療との併用も可能とありますので、注射をベースにかゆみを抑えつつ、スキンケアや外用・内服薬で+αの管理・・・なんてことが可能かなと考えております。

 

画期的な薬を開発してくれたメーカーさんには感謝しつつ、でも私たちはそれに安易に飛びつくわけではなく、しっかり吟味して従来の治療との比較や併用を考えたり、そのワンちゃん・飼い主さんにあった治療プランを提案していけるように日々精進せねばと思うところであります。。。

 

まだ発売未定の最新薬ですが、アトピー性皮膚炎のワンちゃんを飼ってらっしゃる患者さんで、もしご興味がある方はご相談ください。

猛勉強しなければ。

どうぶつの保険について思うこと

2019年03月29日 (金)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

今日は『どうぶつの保険』についてのお話をしたいと思います。

長くなっております。興味ある方のみお読みください。

あれ?これ、動物病院のブログ??と思われた方・・・お許しくださいm(_ _)m

 

診察中などに、どうぶつの保険について、さまざまな質問を受けることがあります。

当院としては、どこの各保険会社に対しても公平な立場を取らせていただいてますので、どこかの保険会社と提携もしてるわけでもなければ、どこか特定の保険会社の保険を特別にオススメすることもありません。

しかし、私も日々色々と質問を受ける中で、どんなものがあるのか知っておかねばと思いまして、先日一括資料請求を申し込みました。

 

 

動物の保険会社ってこんなにたくさんの数があるんですね・・・

これだけあると、逆にどこにしたら良いのか悩みますよねぇ。

全部資料をザーッと目を通して読んでみました。

私、ファイナンシャルプランナーの資格も持ってますので、こういうのキライじゃないんです。

その中で、私自身も気になったところなども踏まえて、保険えらびで参考にしていただきたいことを以下に書きますね。

自分自身にあった保障内容を考える上で、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

 

 

支払い対象外の疾患について

どうぶつの保険では、例えばワクチンで予防できる病気(ジステンパーやパルボウイルスなど)、先天性の病気、不妊手術(避妊・去勢手術)などはあらかじめ保証対象外になっています。ただ、この保証対象外になる疾患一覧をよく見てみると、保険会社ごとに細かい違いがあるようです。

自分が飼っている動物にどんな病気が多いのかを知っておき、その病気が除外されることがないように気を付けたいものです。

 

 

例えば、上のとある保険会社の事例です。

他の疾患はある程度仕方がないとは思うのですが、「気管虚脱」は後天的な要因も発症に多々関係する病気で、今回リストを眺めててちょっと驚いた部分です。

気管虚脱が多いヨークシャーテリアやポメラニアン、トイプードルなどの犬種では、シニアになって気管虚脱で長引く咳が出だして継続的に治療が必要になったとしても、いざ保険請求をしようと思ったら保険が一切出なかった…ということになりかねないわけです。

 

それと、ワンちゃんのほとんどが発症するという「歯周病」。

治療には全身麻酔が必要で、そのために術前の血液検査やレントゲン、超音波検査などを行い全身麻酔下で手術を行いますので、治療費も高くなるケースも多いです。

歯周病という病気の治療として「歯石除去や抜歯や縫合処置」を行ったとしても、一切保険が出ない会社もあることを知っておきましょう。

 

 

回数制限や一回あたりの限度額

保険会社によっては、「病院にかかる1回あたり、あるいは1日あたり上限は〇〇円まで」といったような金額制限を設けているところもあります。また、「通院治療は累計で〇〇日まで」といった回数制限があるところもあります。

 

 

例えば、調子が悪くて病院にかかって、いざ血液検査やレントゲン・超音波検査など様々な検査を一日で行って、検査料や治療費が25,000円くらいかかったとしても、上の写真のような記載があれば、1日あたり12,000円までしか保険が出ません

 

また、ネコちゃんの慢性腎臓病のように、悪くなって毎日皮下点滴に通うような病気でも、上記のように「通院が年間22日まで」と決まってしまってる場合は、23日目からは完全に実費になってしまいます

 

 

できれば、上の保険会社のように、年間の上限額は決まってるけど、1日あたりとか通算日数とかには制限がないところを選びたいものですね。

 

 

免責金額について

どんな保険にも「免責金額」というものがあります。

免責金額というのは、保険請求をしようというときに、〇〇円までは自己負担ですよ~という金額です。つまり、免責金額を決めたら、その金額以上の費用が掛かった場合にのみ保険請求ができます

 

 

これは一見不利な保険のように感じますが、実は保険料の節約にもなりますので一概に悪い内容とは言えません。

このくらいの金額だったら自分でも払えるよな~」という金額を免責金額にしておくと、保険会社はその分保険金を払う機会が減りますので、保険料がお安くなるわけです。

 

そういった少額の治療費は自分で払えるんだけど、でもいざ大きな治療費が掛かったときだけは保険で備えたいという方には良いのではないでしょうか。(もちろん保険料がその分お安く設定されていれば…ですけど)

 

ただ、これは個人的な意見ですが、ネコちゃんの場合は、3頭に1頭という高い確率で慢性腎臓病となり、点滴治療が必要となります。

ネコちゃんの性質的に、病院で入院させるのはストレスであることから通院で皮下点滴を行うことが多く、費用的に3,000円~5,000円とかが毎日のように掛かるケースも多いです。

ということから考えると、ネコの場合『免責金額がない保険で、かつ日数制限がない、通院まで保障される保険』がベストかなぁと思ったりします。

 

契約条件の変更について

 

この件は実は、どうぶつの保険で私個人がもっとも重要視というか、『実に問題だ!』と思っている部分です。

数年前にこういったケースがあり、ちょっとした問題となりました。

飼っているネコちゃんが肝臓病になり、継続して内服薬を投薬していたら、ある時慢性腎臓病も併発しました。

保険更新のタイミングがやってきた際に突然、保険会社から「肝臓病に対しては今後保険金の支払いを打ち切ります!」と通告された…という話です。

飼い主さんとしては、長年保険料を払って来て、いざ病気になった時に途中で病気の保障が打ち切られるというのは大変驚いたことでしょうね。

 

保険会社としても色んな事情や、「本当にその薬が継続して必要な状態なのか?」というような疑問があったりしたのだろうと推察しますが、保険を払ってきた飼い主さんにとってはすごく裏切られた気分になったことでしょう。

こういった条件変更はぜひなくしていただきたいと、獣医療に携わる人間として強く訴えたいですね。

 

 

保険に入ろうかな~と検討している保険会社があれば、ここだけは、問い合わせをしてでもぜひ確認していただきたい!と思います。

「途中での条件変更はありません。契約条件でずっと保障は続きますよ。」というところを選びたいものですね。

 

 

 

加入できる年齢や保障される年齢、保険料など

 

すごく基本的なことになりますが、人間の医療保険と同様に考えてはいけない部分ですので最後に述べておきます。

まず、各保険会社によって加入できるどうぶつの年齢に違いがあります。自分のどうぶつの年齢によっては加入すらできないこともあるので注意しましょう。

 

人間の医療保険は、加入時の年齢で毎年の保険料がずっと同じ金額であることがほとんどですが、どうぶつの保険は、毎年の更新時に年齢が上がると1年間の保険料も年々上がっていくものがほとんどです。いわゆる「毎年更新型」の保険ですから、保障の内容と年々上がる保険料を常に見て継続するかどうかを検討されてください。

 

それと、人間の医療保険は一生涯保障の終身保険ですが、どうぶつの保険のは多くは、「保障されるのが〇〇歳まで!」と決まっているものが多いです。

長生きすると保険自体が継続できなくなるものも多いですので、その辺りもしっかり見ておくことをオススメします。

 

 

とても難しい内容となってしまいましたが、これから保険を検討しようという方の参考になれば幸いです。。。

どこかオススメの保険会社は?というご質問にはお答えしかねますが、もし外来が落ち着いてるときに保険のパンフレットなど持っていただければ、気になる点などにお答えさせていただきますよ。

遅ればせながら…スポーツ と芸術文化の冬

2018年12月12日 (水)

12月2日(日)にオークどうぶつ病院にご来院いただきました皆様、

 

福岡国際マラソンの交通規制のご協力ありがとうございました。

 

病院の前で沢山の選手の頑張っている姿を見ることができました。

 

少し写真をアップしておきますね。

 

 

 

先々週ですが、福岡市では、地元ホークスの優勝パレードがありました。

 

私も黄色い旗をもらって!黄色い声援を送ってきました。

 

スポーツは、頑張る選手の姿に勇気をもらいますよね!

 

 

 

 

 

 

 

また、音楽鑑賞が趣味の私ですが、ボヘミアン ラプソディを映画鑑賞してきました。

 

とても感動する映画でした!!皆様も是非ご鑑賞くださいね。

 

ここでお薦めする理由は…スクリーンでわかると思います。

 

 

師走に入り、毎日が忙しくなりますが、皆様もご自愛くださいね。    しむた

 

 

 

レーザー治療によるイボ取り

2018年11月27日 (火)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

今回は新しく導入したレーザー治療器によってできる治療のご紹介です。

 

以前にブログでレーザー治療器のことはご紹介しておりましたが、この度ついに!

オークどうぶつ病院けやきに念願の最新・レーザー治療器が導入されましたよ!

 

レーザー治療器

 

導入されたのは飛鳥メディカルの発売したばかりの最新機種『D-Lase V-20』という機種です。

コンピュータが内蔵されており、今後バージョンアップで色々と機能が追加されていく拡張性が魅力です。

この度、当院で導入されたのは、なんと!「九州1号機」とのこと!!!

すごいですね~

 

 

1台で何役も!!

 

レーザーの発明は、20世紀最大の発明とも言われていますが、産業面においても医療分野でもたくさんの場面で活躍の場所を広げてきました。

そんな最新のレーザー治療器が当院にも導入されましたので、期待せずにはいられませんね。

この1台で本当に様々なことができますので、今後、治療面での強力な武器(オプション)になってくれることでしょう。

どんなことができるのかは、以前ブログでご紹介させていただきましたが、患者さんへのご紹介用に配っておりますパンフレットを載せておきますね。

 

すでに様々な治療を行っておりますが、その中の1つである『レーザーによるイボ取り(イボの蒸散処置)』をご紹介しますね。

動物も高齢になると、体のあちこちにイボができちゃう子がいます。

小さなイボは本人も気にしないのですが、時に自分で引っ掻いて出血してしまったり、その刺激でまた大きくなったりします。

僕ら獣医師としては、悪性ではないし命にかかわるものではありませんので・・・高齢のワンちゃんに全身麻酔をかけてまで摘出するのも気が引けますし・・・経過観察を・・・

となりがちなのですが、飼い主さんとしては結構お悩みの声を頂戴することが多いんですよね。

 

そんなときに、レーザーがあれば無麻酔でイボを取ることができるんです!!!

正確には、イボを取るというよりは「イボを蒸発させる」という表現が適当でしょうか。

 

百聞は一見にしかず!

うちのグラちゃんのイボを取った動画を載せましたのでご覧ください。

 

このように、ほとんどの場合無麻酔で小さなイボであれば1回の治療で終わります。

最近、1cmを超えるような大きなイボに対しても、週1で何回かに分けて少しずつレーザーで小さくする蒸散処置を行っています。

※一度にしつこく行うと、熱傷(ヤケド)が出る可能性がありますし、動物も集中力が切れてしまいますので、少しずつ高さを削っていくやり方で行っています。

 

大きくてたびたび出血してしまい、おうちが血だらけで飼い主さんも大変お困りだったワンちゃんたちも、無麻酔での3~4回の処置できれいに治りました。

飼い主さんに大変喜んでいただき、こちらも嬉しく思います。

 

動画を見てご興味をもたれた方は、ぜひ一度、お気軽に獣医師にご相談ください!

 

 

ネコちゃんの写真展に行ってきました。

2018年11月15日 (木)

いつも当院をご利用いただき、ありがとうございます。

勤務医のしむたです。

この間、お休みを利用して写真展に行ってきました。

 

 

 

写真集のほか、テレビ等で話題の写真家の岩合さんですが、

かわいいネコちゃんの写真が沢山ありました。

福岡や旅行先で、他県で開催されている岩合さんの写真展にも行ってしまう

私ですが、いつもネコちゃんの可愛らしさと背景の調和に見とれてしまいます。

 

 

日頃、ご来院の患者様のオーナー様に、『先生は、犬派と猫派?』とよくお尋ね

されることがありますが、

それは一生迷いつづけるであろうと思う私です…

 

お近くで岩合さんの写真展がある際は、ぜひ足を運んでくださいね。