糖尿病と血糖値マーカー「フルクトサミン」

2018年05月04日 (金)

オークどうぶつ病院けやきの副院長の前谷です。

先日、新しい機器IDEXX カタリストOneのお話をしました。

それにより新しく測定できるようになった糖尿病のマーカーのお話です。

 

犬猫の糖尿病とは

 

犬や猫も糖尿病になります。

糖尿病というのは、膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンが分泌されない、あるいはなんらかの影響でうまく体の中で働いてくれないことで起こります。

 

糖尿病の詳しいお話は省略しますが、糖尿病になった患者さんの治療は、ほとんどの場合

「ご家庭でインスリンの注射を打っていただくこと」

が必要となります。

 

インスリンの注射を行う 猫

 

インスリンを飼い犬や猫に注射をすることには皆さん抵抗がありますよね。

皆さん最初は尻込みしながら恐る恐るやるのですが、少しすると慣れてきて、とても上手に注射をするようになるんですよね。そのうち、僕らもかなわないくらいに上手になります。

わが子のために、まさに母(父)は強し!・・・ですね。

 

糖尿病の治療の経過観察

 

糖尿病の犬猫は、「朝ごはん食べてインスリン打つ→晩御飯食べてインスリン打つ」という毎日になります。

投与するインスリン量が少なければ糖尿病が管理できませんし、多すぎれば怖い『低血糖』症状が起きる危険性がありますから、投与量が適切かどうか定期的に調べる必要性があります。

 

血糖値の測定は、採血した瞬間の値しか見れません。

一日を通してどのくらいの血糖値になっているかを推測するためには、例えば朝から夕方までお預かりして、3時間おきに採血して血糖値を追っていく方法をとることもありますが、病院にずっといないといけないのはストレスですよね。

また、ネコちゃんは採血時に「ギャーっ」と興奮してしまうと血糖値が上がってしまいますから、必ずしも正確な血糖値が測れるわけでもないんですよね。

 

そこで登場したのが、血糖値マーカーです。

血糖値マーカーというのは、体の中のたんぱく質などの物質に糖が結合したものを測定することで、採血時からさかのぼって2~3週間の間で、血糖値がどう推移していたかの平均値を取る検査です。

 

ヒトでは、血液中のヘモグロビンに結合したHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という項目を測定しますが、動物では血液中のたんぱく質に糖が結合した「糖化アルブミン」や「フルクトサミン」という物質を測定します。

それにより、一回の採血で、平均的な血糖値の動きが予想できますので、今のインスリン量で適切な治療が行えているかどうかを評価できるのです。

 

院内検査できるようになった血糖値マーカー『フルクトサミン』

 

この3月より、先日導入したばかりのIDEXX カタリストOneという機器で、血糖値マーカーの『フルクトサミン』という検査が行えるようになりました。

フルクトサミンは、血液中のたんぱく質に糖が結合した物質で、2~3週間の血糖値の平均的な動きを見ることができる血糖値マーカーです。その歴史は長く、ずいぶん前から犬猫の糖尿病治療に使われてきた、とても信頼性の高い検査です。

 

これまでは、糖化アルブミンという検査を外注で送っていましたので、後日お電話で結果を報告してからインスリン量の変更を指示したりというタイムラグが何とも歯がゆかったのですが、このたびのフルクトサミンの採用で、通常の血液検査の待ち時間(約15分)でインスリン治療が適切かを即座に判断できるようになりました。

 

IDEXX フルクトサミンの測定 カタリストOne

糖尿病コントロールを行っている猫ちゃんの結果です。フルクトサミンが300~400(μmol/L)の範囲に入っていますので、とても良好に糖尿病がコントロールできているということが分かりますね。

 

フルクトサミン カタリストOne

一方でこのワンちゃんの場合は、フルクトサミンが450(μmol/L)を超えていますので、血糖値の平均的な動きが高めを推移しているということです。血糖値の平均を下げるためにはインスリンを増やす必要があります。

 

今後、どんどん院内検査で測れる項目が増えると思いますので、IDEXX カタリストOneには大いに期待しております。

 

新しい血液検査の機械が入りました!

2018年04月13日 (金)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

フィラリア検査が始まりましたので、同時に健康診断の血液検査を希望される方が増えています。

 

オークどうぶつ病院では、西区・中央区の2病院ともに、血液検査の機械を2台体制でフル稼働しておりましたが、このたび3月末より1台をリニューアルしました!

 

 

IDEXX カタリストOne フルクトサミンやCRP、将来的にはSDMAも測定可能に!?

リニューアルしたIDEXX カタリストOne

 

これが新しい機械『IDEXX カタリストOne』です。

これは良いですね~

旧機種も隣に置いて新・2台体制で行っているのですが、専用のパソコン(IDEXXベットラボステーション)とつながっているので、2台の結果を一元管理できます。

腎臓病などで定期的に検査を行っている患者さんは、前回の結果を呼び出して横に印刷したり、それをグラフ化して載せることも可能です。

 

何よりも嬉しいのは、これまで外注検査で結果が出るまでに数日かかっていた特殊検査項目が、院内ですぐに結果が出せるように今後も進化していく見通しだということですね。

 

◎具体的には以下の検査が可能です。(あるいは可能となる見込みです。。。)

T4 甲状腺ホルモンの検査です。犬の甲状腺機能低下症猫の甲状腺機能亢進症の診断や、治療が適切かの判断を行うことができます。

これまでも院内検査は可能でしたが、より詳細な範囲で測定することができるようになりました。

コルチゾール 犬に多いクッシング症候群の診断や、治療の経過(薬の量が適切かどうか)などを院内で調べることができます。

これまで通り、旧機種のVET TESTで測定可能です。今のところ旧機種でしか測れませんので、新旧2台体制の良いとこ取りですね。

フルクトサミン 糖尿病の犬猫のインスリン量が適切かどうか、定期的に見ていく数値です。

これまで外注検査のみでしたが、院内検査ですぐに結果が出るようになりましたので、その場でインスリンの量が適切か判断できるようになりました。

尿タンパク・クレアチニン比(UPC) 腎臓から漏れ出すタンパクを数値で測定できます。詳しくはこちらをご覧ください。

タンパク尿は、腎臓病の犬猫の予後を悪化させると考えられていますので、尿タンパクが出ている子には尿タンパク漏出を抑制するお薬を処方します。

これまでも院内機器で測定しておりましたが、細かな数値が測定できるようになり、測れる範囲が広がりましたので、さらに便利になりました。

CRP 炎症反応がどのくらいあるか調べる数値です。

病気の重症度や、どういった病気が推測されるか、あるいは治療によって良くなっているかどうかのモニターなど・・・あらゆることに応用できます。

今年の中頃にはカタリストOneで測定可能になると言われていますので、早い登場が待たれます!

SDMA これはあくまでもウワサですが・・・

他の記事で紹介しました、犬猫の腎臓病の早期発見マーカーであるIDEXX SDMAが将来的に院内で測定できるようになるという話も出ていますので、なんとかIDEXXさんに実現してもらいたいものです。

 

またまた難しいお話をしてしまいましたね。。。

個々の詳しいお話は追ってさせていただくとして、一言で申しますと、

 

「どんどんより良い診断・治療が迅速にできるようになっていく!」

 

ということですね。

導入直後ですので、みんな慣れるのに必死です。。。

ちょっとだけお待たせすることがあるかもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします。

 

 

猫用療法食モニター募集(アミノペプチドフォーミュラ新発売!)

2018年03月24日 (土)

オークどうぶつ病院けやき副院長の前谷です。

今回は猫ちゃんのアレルギー用フードの新製品発売のお知らせと、製品モニター募集についての案内です。

ワンちゃんの飼い主さんはコチラ ←犬用アミノペプチドフォーミュラ・キャンペーンも実施中です!

 

猫の食物アレルギーの特徴

 

猫ちゃんの食物アレルギーの特徴としては以下のようなものが挙げられます。

 

頭や首を引っかき壊し、ただれたりカサブタができたりすることが多い

・他にも様々な皮膚症状(粟粒性皮膚炎:背中などに小さなカサブタが乗ったブツブツが多数できる、好酸球性局面:痒みを伴う平坦な盛り上がりができる、体をなめたり引っかいたりして毛が薄くなるetc..)

・軟便、下痢、嘔吐などを頻繁に繰り返す

・症状が一年中ある

・病院でステロイドの薬をもらってもあまり効かない

 

上記のような症状がある猫ちゃんは、もしかしたら「食物アレルギー」かもしれません。

 

新しいアレルギー食『アミノペプチドフォーミュラ』

 

猫のアミノペプチドフォーミュラ新発売

 

アミノペプチドフォーミュラは、特殊な製造工程により、タンパク質を理論上アレルギーが起こらないアミノ酸まで低分子化して作った療法食で、理論上アレルギーを起こさない『除去食』と呼ばれます。

 

また、健康な皮膚を維持するため、ロイヤルカナン独自の「PINCHカクテル(パントテン酸・イノシトール・ナイアシン・コリン・ヒスチジンの頭文字)」や「抗活性酸素物質カクテル(ビタミンC、E、ルテイン、タウリン)」を配合し、ω3脂肪酸であるEPAやDHAの含有量を強化しています。

 

さらに、尿石症の予防が必要な猫ちゃんのためにストラバイト・シュウ酸カルシウム予防効果もあり、シニア猫にも与えることができるようにリン含有量を抑えた設計になっていますので、様々なケースで使うことが可能です。

 

販売価格は、500gが¥2,090(税別)・2kgが¥6,150(税別)となっております。

 

モニター募集します!(新発売キャンペーン)

 

猫の除去食試験

 

今回、ロイヤルカナンさんのご協力により、除去食試験をやってみようという猫ちゃんのために、皮膚症状の子には6週間分の、消化器症状(嘔吐や下痢)の子には2週間分のアミノペプチドフォーミュラを提供していただけることになりました。

 

製品モニターのため、使用前後の症状や皮膚写真、猫ちゃんの情報などを教えていただく必要がありますが、この機会に上記のような気になる症状に対して、除去食試験を行ってみたい猫ちゃんを募集いたします!

 

募集締め切りは5/14(月)までとなっております

↑↑※応募が殺到したため、締め切りが3月末日までに変更されたようです(ロイヤルカナンより)↑↑

3/31をもちまして、モニター募集キャンペーンを締め切らせていただきました。(3/31追記)

フードの販売は引き続き行っておりますので、気になる方はお気軽にスタッフにご相談ください。

 

猫の除去食試験の流れ
猫の心臓病の検査~『スナップproBNP』新発売!

2018年03月19日 (月)

オークどうぶつ病院けやきの副院長の前谷です。

暖かくなるにつれ、フィラリア予防の時期が近づいてきましたね。

病院が混み合う前に、この時期にフィラリアの検査を行っておくことも可能です。

犬はもちろんですが、猫もフィラリアに感染することが分かっていますので、予防をオススメします。

その際、各種健康診断の検査も同時に行うことができますので、ご希望の方は担当獣医師にお申し付けください。

 

 

犬と猫の心臓病の違い

 

血液検査で異常を見つけにくい臓器の1つとして、心臓の病気があります。

 

犬に多い弁膜症(心臓の中の弁が閉じなくなる病気)は、聴診器で心雑音を聞くことで早期に診断することが可能です。

それに対して、猫の心臓病は聴診で診断できることは少なく、水面下で無症状のまま進行します。

運が悪く血栓ができて動脈に詰まった場合は、昨日まで元気にしていた猫の命をあっという間に奪ってしまうこともある、とても恐ろしい病気なのです。

 

 

猫に多い『心筋症』を正確に診断するには、心エコー検査(心臓超音波検査)が必要となりますが、暴れてじっとしてくれなかったり、ドキドキして心拍数が上がると心臓内をじっくりと見ることが難しくなります。

もっと手軽に心臓の病気を疑うことができる検査があれば、猫ちゃんたちにかかる負担も少なくなります

 

 

心臓病の可能性を疑うことができる新しい検査の登場

 

そこで登場したのが、新発売の『スナップproBNP』という検査キットです。

 

猫用スナップproBNP(心臓バイオマーカー)

 

 

心筋に負担がかかった時に血液中に放出される物質である、NT-proBNP(N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドという長たらしい名前があります・・・)を検出することで、無症状でも気づかないうちに心筋に負担がかかっていないかどうかを、血液を抜くだけで知ることができます。

 

この検査キットを使うことで、無症状の中等度以上の心筋症の猫の85%を検出できると言われています。

NT-proBNPという検査は、これまでも血液を検査センターに送付することで測定できた検査なのですが、検査結果の報告には数日かかりました。

 

この検査キットは院内で10分あれば判定できますので、健康診断の一環として心筋症のリスクを知ることができると考えています。

 

 

 

こんな時にご提案するかもしれません・・・

 

・心筋症になりやすい品種の場合: メインクーンソマリアメリカン・ショートヘアなどの猫ちゃんは、若くても要注意です。

・聴診して心雑音やギャロップ(馬が走るような心調律)などの異常があったとき

健康診断の一環として、心臓病の可能性を否定したいとき

・呼吸が苦しい、咳をするなどの症状があって、心臓病からの可能性を否定したいとき

・心臓病が疑われるが、猫が大暴れして超音波検査が難しい場合

 

 

検査費用は、¥4,500(税抜き)となっております。

 

純血種の洋ネコちゃんを飼っていて心配な方や、健康診断の一環としてご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。

アレルギー

2018年03月03日 (土)

今の時期は、大変です

 

花粉、黄砂、PM2.5・・・

 

春近しなのに、憂鬱な毎日

 

そのうえ自宅はハウスダストなどもある・・・

 

 

しかし、

 

ハウスダストだけは防御可能

 

これで、防御

 

 

 

 

その名も、

 

 

 

 

 

ハウスダストを無力にするスプレー

 

環境に吹き付けると、1か月有効

 

その名も、

 

 

 

 

アレルギーやアトピーの皮膚炎の犬には良いです

 

 

 

 

1本:2160円です

 

 

 

 

 

興味のある方はスタッフまでどうぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『アポキル錠』のセミナーに参加してきました!

2017年02月06日 (月)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

 

昨日の午後は、発売後7ヶ月を経過したアトピー性皮膚炎の新薬『アポキル錠』のセミナーに参加してきました。

アポキルキャラバン

 

以前もアポキル錠についての記事を書きましたが、ステロイドに頼らない安全性の高いアトピー性皮膚炎の薬として、とても期待されて市場に登場した新薬です。

 

発売から7ヶ月経って、細かな使い方をこう工夫した方が良いとか、こういう症例にはあまり向かないなど、よりアポキルの特徴や、うまく使いこなすためのコツみたいな情報が集まって来ており、それを共有する場となりました。

 

治らないアトピー性皮膚炎やその他皮膚病の犬が少しでも快適な毎日を過ごせるように、もっともっと勉強せねば・・・と思っております。

 

 

アトピー性皮膚炎専用

2017年02月04日 (土)

 

新発売

専用フード

 

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食餌アレルギーのフードは別にありますが・・・

 

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サンプルもあります

 

気になる方、サンプルをどうぞ

 

アトピーでない方でも美味しくいただけます

 

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食べることは大切です

 

 

 

 

 

 

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内視鏡検査~検査機器の紹介から実際の動画まで

2016年10月02日 (日)

オークどうぶつ病院けやきの副院長の前谷です。

内視鏡の機械は、昔からありますが、2年前くらいに新しい内視鏡に変わりました。

オークどうぶつ病院としては、3代目の内視鏡です。

新しくなる度に画質がきれいになり、技術の進歩を感じます。

内視鏡中

 

内視鏡検査の適応とは

内視鏡検査は、なかなか治療をしても治らない「下痢」や「嘔吐」の原因診断として用います。

症例画像

そこに慢性炎症があるのか、はたまた腫瘍ができているのか・・・。

肉眼的に異常がないように見えても、必ず組織は取って病理検査に提出するようにしています。

犬猫では、肉眼所見のみでの診断は不可能と言われています。

 

もう一つの適応としては、何かを飲み込んでしまった場合の異物を取るために用います。

異物症例画像

実際のところ、こちらのケースの方が使用頻度が高いわけですが、内視鏡では取り出せない異物もあります。

大きくて胃から引っ張り出せないものもあれば、胃から流れたヒモなども無理に引っ張ってはいけません。

 

内視鏡の機械ってどんなの?

ちょっとマニアックなお話になります。

ここを頑張って読んだら、最後に内視鏡を実際に使ってる動画がありますので、ぜひ見てみてください。

 

内視鏡は、長さが1メートル40センチのしなやかなチューブを口から入れていきます。

手元のレバーで上下右左に操作しながら、曲がりくねった腸内を進んで行きます。

 

先端の構造はこうです。

内視鏡先端詳細

写真のように、腸内を照らす光源と、カメラのレンズ、そして水を出したり吸ったりするノズルもあります。

大きな穴は、そこから内視鏡用の鉗子を出して、異物をつかんだり、組織を生検したりするための穴です。

 

生検鉗子シリーズ’

異物をつかむ鉗子です。大きいものから小さいもの。ワイヤーで挟み込むバスケット鉗子などがあります。

 

組織生検シリーズ’

生検に使う生検鉗子です。

アイスクリームのカップのような先端で、胃や腸の粘膜を挟んでつかみ取ります。

取った組織は、ろ紙に載せてホルマリンで固定して病理検査に提出します。

 

 実際に使用した症例の動画

 

実際に内視鏡を使用した症例の動画を集めました。

今回用いたのは異物を摘出したケースばかりですが、慢性の下痢や嘔吐の診断においても大活躍しております。

 

※内視鏡には適応症例があります。基本的には、手術時間に予約制で行っておりますので、急に内視鏡をご希望されて来院されても難しい場合があります。ご了承ください。

新しい腎臓検査 『IDEXX SDMA』②~役に立った症例編

2016年09月28日 (水)

オークどうぶつ病院けやき 副院長の前谷です。

先日、慢性腎疾患の新しい検査 『IDEXX SDMA』 についてのお話をしましたが、今回は、その検査のお陰で慢性腎疾患と診断可能であったワンちゃんのお話です。

 

IDEXX_SDMA

 

 

今回のワンちゃんは、高齢のやせ型の犬であり、先日に血液検査を行った段階では、腎臓の数値はいずれも正常でした。

 

  • BUN(尿素窒素): 18 mg/dl (基準値;7-27 mg/dl)
  • Cre(クレアチニン): 0.9 mg/dl (基準値; 0.5-1.8 mg/dl)
  • PHOS(血中リン): 3.6 mg/dl (基準値; 2.5-6.8 mg/dl)

 

しかし、同時に行った腹部超音波検査では、左の腎臓に2つののう胞(水ぶくれ)が見つかりました。

 

 

そのため、腎機能の40%以上に障害が起きて上昇する、新しい腎臓の検査である『IDEXX SDMA』を測定したところ・・・

高齢犬SDMA結果 犬CKDステージング

また、尿比重が1.010と薄く、以前お話しした尿タンパククレアチニン比(UPC)が、0.2とグレーゾーンでした。

 

クレアチニンやその他の血液検査では異常を認めませんでしたが、SDMAを測定することで、慢性腎疾患と早期に診断し、食事療法を早めに取り組めたケースでした。

 

今回は、先に腎のう胞という画像的な異常が見つかりましたが、腎臓は片方だけが機能している状態でも、血液検査の数値は正常であることが多いですので、シニア犬猫の健康診断の一環として、新しいSDMA検査を加えていくのも、腎疾患の早期発見のためにオススメです。

 

検査料金は、¥2,592 で、2~3日後の結果報告となります。


腎疾患の新しい血液検査~『IDEXX SDMA』

2016年09月10日 (土)

オークどうぶつ病院けやきの副院長の前谷です。

今回は、犬猫の慢性腎臓病の新しい診断検査として登場した新しい外注検査をご紹介します。

IDEXX_SDMA

ヒトでは、慢性腎臓病のステージ(病期)の判定は、GFR(糸球体ろ過量)という腎臓の仕事量をもとに判定されています。

本来は、犬や猫もこの指標を用いたいところですが、犬・猫でGFRを測ることはなかなか難しいのが現状で、代わりにクレアチニンという検査項目が指標として用いられています。

 

クレアチニンは筋肉の代謝老廃物であり、筋肉の少ないやせた動物では数値が上がりにくいので病気を過小評価してしまったり、腎機能が75%以上失われた段階まで上がらず、発見が遅れてしまう・・・などの問題点がありました。

 

この新しい腎臓のバイオマーカー「SDMA」は、対称性ジメチルアルギニンという物質で、筋肉量により影響を受けず、腎臓以外の要因の影響も受けないことから、犬猫では検査が難しい糸球体ろ過量GFRを反映する優れた検査項目となります。

 

SDMAは、腎機能が40%失われた段階で上昇するので(従来のクレアチニンは腎機能が75%失われてからようやく上昇)、これまでより早期に慢性腎臓病を検出可能と言われています。

 

報告では、従来のクレアチニンによる判定に比べて、猫では平均で 17ヶ月、犬では 9.5ヶ月早く慢性腎臓病を検出できた とされています。

 

症状が出る前に、健康診断において慢性腎臓病を検出できる可能性に僕としても大いに期待しています。

猫CKDステージング

世界各国の15名の獣医腎臓病学専門家から構成されるIRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)における最新の慢性腎臓病の治療ガイドラインにも追加された期待の腎臓バイオマーカーです。

 

上の図は、猫の慢性腎臓病のステージ判定に使われる指標ですが、従来のクレアチニンに加えて、SDMAがステージ判定において使用される項目として加えられました。

 

補助検査としては、以前にこのブログでお伝えしたことのある尿タンパククレアチニン比(UPC)も記載されています。

 

当院でも、慢性腎臓病の治療中の子や、腎臓病を心配してらっしゃる動物の飼い主さんに検査を行っています。

idexx sdma

検査料金は、¥2,592 で、外注検査ですので、後日2~3日で報告となります。

腎臓病を心配されているワンちゃん猫ちゃんや、あるいは健康診断の一環として、ぜひ一度ご検討ください。

 

続きまして、SDMAの検査が役に立った症例についてはこちらをご覧ください。