猫の慢性腎臓病について

高齢猫で気をつけるべき病気として、慢性腎臓病(Chronic kidney disease; CKD)があります。慢性腎臓病とは、様々な原因により長期間腎臓が機能低下を起こしている病態を言います。猫に腎臓の病気が多いことは、猫を飼っている方はかなりご存知のようで、飼い主さんの関心がとても高いことを日々実感します。

慢性腎臓病の猫への皮下点滴(注射)

 

高齢の猫にとても多い病気です。10歳以上の猫の約30~40%が慢性腎臓病というデータもあり、5歳以上の猫の死因ナンバーワンとも言われています。その原因は、老化や感染症、腫瘍など様々ですが、多くの場合はその原因が特定できないことがほとんどです。尿管結石を繰り返して、若い年齢でも慢性腎臓病になってしまう子も増えており、若いからといっても油断できない病気なのです。

 

また、一度機能低下を起こした腎臓は元には戻らないので、慢性腎臓病は治せる病気ではありません。残された腎臓機能をいかに温存して、元気・食欲などの生活の質を維持していくのかが治療の目標となります。病気を早期発見し、早い段階で治療を開始していくためにも、以下のような症状がある場合は、なるべく早く病院にお越し下さい。

 

 

・ 水をよく飲むようになった。
・ おしっこの量が増えた(トイレの砂の塊が大きくなった)。
・ やせてきた。
・ 元気がない(大人しくなった)。
・ 食欲が落ちている。
・ よく吐くようになった。
・ 便秘気味だ。
・ 毛ヅヤが悪くなった。毛づくろいをあまりしなくなった。
・ 歩くときにふらつくようになった。