健康診断とはいっても、様々な検査項目があります。動物種や年齢、皆さんがどのようなところを気にかけていらっしゃるかなどを総合的に判断して、どの検査を行うかを相談して決めていきます。動物の体調のことで日頃気になっていることがあれば、お気軽に獣医師にお申し付け下さい。

 

以下は、健康診断で行う主な検査の内容について書いております。難しい内容になってますので、検査の内容を事前に知りたい方や、病院で検査を受けたがどんな検査だったのかをあらためて知りたい方など、興味がある方はお読み下さい。

 

 

血液検査
院内の機械で、貧血や白血球の数、内臓の機能などを調べる検査です。肝臓・腎臓・膵臓などのあらゆる臓器の異常を総合的に調べます。


両院ともに、血液検査機器は2台体制で行っております。同時に2件の患者さんの検査を進めることができますので、検査時間でお待たせすることがないよう努めております。

 

 

ホルモン検査
当院では、甲状腺ホルモンのサイロキシン(T4)を院内の機械で測定することができます。猫の甲状腺機能亢進症はその場で診断が可能に、犬の甲状腺機能低下症の可能性も調べることが可能です。
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コルチゾール(副腎皮質ホルモン)も院内で測定可能ですので、クッシング症候群やアジソン病といった副腎の病気かどうかその日に分かります。

 

 

外注検査
院内検査では調べられないような特殊検査を、検査センターに血液や尿などを送って調べてもらいます。検査結果が出るには数日かかります。
健康診断としてメリットが高い外注検査としては、SDMA(対称性ジメチルアルギニン)という項目があります。高齢の犬猫に発生が増えており完治が難しい慢性腎臓病を早期に診断できる検査です。

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上記以外にも、炎症マーカー、膵炎かどうかを調べる検査(膵特異的リパーゼ)、心臓のバイオマーカーなど、様々な外注検査があります。

 

 

血液キット検査
2018年に新発売したばかりの「スナップ・proBNP」という検査は、聴診では見つけにくいと言われる猫の心筋症を、血液を抜いて10分で迅速に調べることができきる検査キットです。

心筋症の好発猫のメインクーンやラグドール、アメリカン・ショートヘアーなどの健康診断の一つにご検討ください。

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その他に、犬の急性膵炎や猫の膵炎を疑った場合に、迅速に院内で判定する検査キットなどもあります。

 

 

レントゲン検査
胸部レントゲン検査では、心臓のサイズや肺や気管支の状態を確認することができます。
腹部レントゲン検査では、腹部主要臓器の大きさやしこりの有無をチェックします。

 

 

超音波検査(エコー検査)
心エコー検査では、レントゲンでは分からない心臓内部の心室や心房のサイズ、心室の壁の厚さなど、細かな構造をリアルタイムでみることが可能です。
腹部エコー検査では、レントゲンでは見えない小さな臓器の大きさや、内部構造をみることが可能です。初期の小さなしこりも、超音波検査でなければ見つけられないこともあります。


超音波検査は、検査に時間がかかる場合もあります。当日の外来の混雑状況によっては、すぐに検査を行えなかったり、夕方までお預かりをさせていただくこともありますので、ご了承ください。

 

 

尿検査
尿の中にタンパクや尿糖、潜血などがないか調べます。腎臓の病気では、初期に尿の濃度が薄くなりますので、尿の濃度(尿比重)も重要な検査です。


採尿の方法は、自然排尿(飼い主さんが持参)、カテーテル採尿、膀胱穿刺などがあります。

 

 

尿タンパク測定(UPC)
尿中にタンパクが出ているかどうか、当院では検査機器を使って、尿タンパク/クレアチニン比(UPC)を測定することが可能です。尿中にタンパクが出る場合、腎臓病の動物の予後が悪くなることが報告されています。
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糞便検査
検便をして、便の中に寄生虫の卵や腸炎を引き起こす悪玉菌がいないかを調べます。

 

 

内視鏡検査
犬猫の内視鏡検査は、全身麻酔が必ず必要となりますので、健康診断として行うことは少ないですが、胃や小腸・大腸の粘膜面(内部)をカメラで調べることができます。
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