犬・猫の腫瘍(ガン)について

高齢の動物で気をつける病気として腫瘍(ガン)があります。ガンは悪性腫瘍のみを指す言葉ですので、この記事では「腫瘍」という言葉で書いています。人間でも腫瘍は近年増加の一途をたどり、死因ナンバーワンを更新し続けています。動物の世界でも、医療技術やペットフードなどが普及するにつれて、これまで多かった病気の発生率が減る代わりに腫瘍は増えてきており、犬・猫ともに死因ナンバーワンという現状です。

内視鏡検査で見つかった胃の腫瘍

 

腫瘍は発生する部位によって症状は変わりますし、同じ名前の腫瘍でも、個体によってそれぞれ増殖・進行のスピードが違うことがほとんどです。人間では、ある種の腫瘍であれば腫瘍マーカーを血液検査で調べることで早期発見することが可能ですが、犬や猫では実用できる腫瘍マーカーはまだ開発されていません。また、人間は自覚症状に気付いて早めに病院を受診することが出来ますが、犬や猫は軽い症状でも飼い主さんにそれを伝えることができませんし、それを隠そうとする動物もいます。

 

ですから、少しの体調の変化にも気付いてあげて、早めに受診していただくことが何より肝心となります。また、どこがどういう風におかしいと伝えることもできませんので、細かな症状の変化を日頃からよく観察していただき、苦しむ動物たちの代わりに、飼い主さんが私たち獣医師にしっかりと伝えていただく必要があります。

 

健康診断を受けることも、腫瘍を早期発見するためには大切ですので、ワクチン接種やフィラリア予防でご来院の際や、それ以外の時でもお気軽に申し付け下さい。血液検査で異常値が出る臓器もありますが、例えばお腹の中にしこりが出来た場合などは、画像検査(レントゲン検査や超音波検査)を実施しなければ見つけることが出来ない場合もあります。どういった検査を受けるとよいのか、担当獣医師に一度ご相談ください。

 

 

・ 急にやせてきた(体重の10%分が急に減った)。
・ 食欲が落ちている。
・ 元気がない。
・ よく吐いたり下痢するようになった。
・ 皮膚にしこりができた。
・ お腹が張ってきた。お腹が膨らんできた気がする。
・ 寝てばかりいる。
・ どこかを痛がっている。触ると嫌がって逃げる。
・ 咳をするようになった。
・ 息遣いが荒い。