猫の尿膜管遺残症 / feline urachal residual disease

生後8か月のネコが血尿でお越しです

 

尿検査しても血球のみ

 

細菌や結石はありません

 

二次感染予防のため抗生剤と尿路用の処方食を処方

 

レントゲン検査では尿膜管遺残症の疑いがありましたので、引き続き自宅で要観察

 

 

 

・・・しかし、

 

血尿止まず

 

手術です

 

全身麻酔をかけて膀胱造影後、手術

 

 

膀胱先端に膜あり

 

膜を切断して、引っ張ると

 

 

その先端を観察すると

 

 

尖っています

 

膀胱は常に丸い形なので、この尖りは異常です

 

仮診断:尿膜管遺残症

 

この尖端を切除して、膀胱を縫合します

 

そして、切除したものを病理組織学的診断検査へ送付

 

 

結果

 

 

ネコ雑種 ♂C
膀胱/尿膜管遺残 urachus remnant
 採取された膀胱では、筋層内において管状の構造物が形成されています。内腔は移行上皮様の細胞により内張されています。これらの細胞は規則的に配列しており、明らかな悪性所見は認められません。また、周囲では結合組織の増生が起こっており、表層の粘膜の一部はびらんを呈し、直下では軽度の出血や肉芽組織の増生が加わっています。
 検索した膀胱の組織では、移行上皮により内張された管状の構造物が形成されています。内張りする細胞には明らかな悪性所見は認められず、尿膜管遺残と判断されます。検索した組織には顕著な炎症や腫瘍性の病変は認められません。

 

 

 

 

尿膜管というのは、胎生期に臍と膀胱をつなぐ管のことです

この尿膜管は出産と同時に切れ、膀胱と臍間に連絡はなくなります

しかし、この尿膜管遺残症は連絡を絶ち切れず、残ってしまい、そこに尿が残留し炎症を起こして血尿になるという病態生理です

ですので、この病気は投薬や処方食では治癒は不可能で、手術しかありません

 

 

あまりにも長く続く血尿や頻尿などの泌尿器症状は、かかりつけにご相談ください

 

 

 

したっけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

this disease treatment is surgery only.

and diagnosis is complicated.