犬の乳腺腫瘍

シャンプーにお越しのM・ダックスのエル君(11歳♀)

 

シャンプー前の診察で、発情の状況をお聞きしました

 

6月に発情があり、その後オッパイが張って乳汁が出てきたのを舐めていたとのことです

 

 

それはまさに『偽妊娠』とよばれる、簡単にいえば想像妊娠です

 

そこに細菌感染したら乳腺炎になってしまいます

 

 

と、オッパイを触診すると、豆大の乳腺腫瘍が5~6個

 

避妊手術の重要性をさらにお話しました

 

 

 

 

翌日、手術

 

・・・・・、決断の速さ 🙆

 

 

 

 

 

 

まだ完全に乳腺が元に戻っていない(黒っぽく見えるところです)

 

 

 

 

 

 

避妊手術終了後、乳腺腫瘍に取り掛かります

 

 

 

 

 

 

 

犬は4~5対のオッパイがあります

それごとに乳腺腫瘍が発生します

黒い部分が乳腺ですから、乳頭と乳頭の間にもできます

 

つまり乳腺腫瘍は複数できることが多いということ!

 

また、その腫瘍ごとに悪性や良性と、さまざま👩‍⚕️

 

 

今回も摘出した乳腺腫瘍+子宮卵巣を病理組織学的検査に送付します👨‍🔬

 

 

早期の避妊手術で乳腺腫瘍は予防可能

 

 

 

 

 

避妊手術受けましょう、長生きします

 

 

 

 

 

したっけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病理組織学的検査結果が来ました

ミニチュアダックスフント 11Y ♀S

1ヶ所:乳腺腺癌 低悪性度 mammary adenocarcinoma
3ヶ所:乳腺腺腫 mammary adenoma
1ヶ所:良性乳腺混合腫瘍 benign mammary mixed tumor
卵巣、子宮:著変認めず

検索した乳腺では、大小の結節性の乳腺腫瘍が形成されています。腫瘍はいずれも異型な乳腺上皮細胞の管状から乳頭状増殖と一部筋上皮の増生で構成されています。悪性とした1ヶ所では、乳腺上皮が密な増殖を示しています。また1ヶ所では軟骨化生が起こっています。
子宮では、粘膜の状態は保たれています。
卵巣には複数の黄体や発育段階を示す卵胞が形成されています。

摘出された乳腺では、複数の部位に、結節性の腫瘤が形成されていますが、いずれも良性あるいは低悪性度に分類される腫瘍です。
いずれの腫瘍も、マージン部やリンパ管への明らかな浸潤性は認められません。
摘出状態は良好で、これらの腫瘍に関しては今回の切除により、予後は良好と考えられますが、多発傾向を示していることから、新しい腫瘤の形成について経過観察をお勧めします。
卵巣や子宮には明らかな病変は認められません。

 

 

 

要するに、良性の腫瘍と悪性の腫瘍がありました
悪性ではありますが軽度の悪性で、手術の取り残しがないので大丈夫です
しかし、オッパイは5対あるので、それぞれに腫瘍ができるかもしれませんのでよく観察を

ということです
一安心👩‍⚕️