外耳炎の季節到来!

オークどうぶつ病院けやきの副院長の前谷です。

ジメジメした季節になるとともに増えてくるのが耳や皮膚のトラブルです。

今回は、『犬の外耳炎』について。

病気の治療のお話から、ご家庭での耳のお手入れの仕方までを連載でお話ししたいと思います。

 

犬の耳の構造について

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ヒトの外耳道は鼓膜まで一直線なのに対し、犬の外耳道はL字型です(上図参照)。

このため、ヒトのように耳かきで耳垢を除去することはできません。

また、綿棒を突っ込むと、汚れを奥の方に押し込んでしまいますので、お勧めできません。

耳掃除の正しいやり方は次の回で詳しくお話しますが、このような構造の違いを理解して正しい耳のお手入れを日頃からご自宅でやっていただくことが肝心となります。

 

外耳炎の治療方法

外耳炎になりやすい犬は、コッカースパニエルやキャバリアなどの垂れ耳の犬や、ミニチュア・シュナウザーやトイ・プードルなどの外耳道に毛が生える犬種、柴犬やフレンチブルドッグなどのアレルギーになりやすい犬種など様々です。

 

外耳炎になると、「ひんぱんに頭を振る」、「耳の後ろをしきりに後ろ足でかく」といった症状が現れます。悪化すると、鼓膜を破って中耳炎に発展したり、外耳道が狭く硬くなってしまい、将来的に耳道を広げたり摘出したりといった手術が必要になることも・・・

 

外耳炎の治療は、汚れた外耳道の耳垢をしっかり洗浄・除去し、きれいになった外耳道に点耳薬をつけます。毎日あるいは数日おきで可能であればご自宅でもやってもらうことが早く治すための近道です。

 

1.耳の状態の診察

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耳の状態をチェックします。場合によっては、耳垢の中の病原菌の検査を行うこともあります。

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正常な犬の耳垢です。青く角ばっている細胞は、角化上皮細胞という「フケ」の細胞です。病原菌は見当たりません。

 

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上の写真は、フケの細胞の中や周りに、青い雪だるまのような病原菌がたくさんいます。

これは『マラセチア』という真菌(酵母の一種)です。

たくさん増殖すると、茶色くねっとりとした臭い耳垢が出て、耳道は赤く腫れとても強いかゆみが出現します。

 

2.外耳道の洗浄

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耳用の洗浄液を用いて外耳道の洗浄を行い、耳垢をしっかり除去します。

 

3.点耳処置

洗浄後、しっかり耳道内の液体・汚れが出たあと、点耳薬をつけていきます。

外耳炎の治療において、最も大事なのがこの点耳薬になります。

犬の急性外耳炎は、耳掃除だけでは決して治りません!

耳垢の性状に合った様々な点耳薬を選択し、外耳道に滴下・塗布していきます。

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次回は、ご自宅でできる耳のお手入れ方法についてお話しします。。。