口の中の珍しい病気「歯原性のう胞」へのレーザーの応用

2020年11月20日 (金)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

前回のブログでは、口の中のガンに対してレーザー手術器を使用したケースレポートをご紹介させていただきましたね。

早速ブログを見て来られて、治療を開始したワンちゃんもおりますが、あくまで根本治療ではなく少しでもQOLを改善したいという思いで行っている治療であることを再度お伝えしておきます。

今回は、同じく口の中にレーザー手術器を使用した珍しい病気の治療編をお送りします。

 

先日偶然に口の中にしこりを見つけたチワワの大吉ちゃんです。

いつも何をするにも嫌がったり怒ったりせず、目が合うと必ずしっぽを振ってくれる明るいワンちゃんです!

上の前歯の位置にやや黒っぽく見えるしこりがありました。

写真は麻酔下にてフラッシュ撮影しておりますので明るく見えますが、実際は黒ずんだしこりのように見えました。

 

麻酔をかけて精査したところ、透き通って見えますので液体が貯まっているのかなと細い針を指すと透明な液体が抜けてぺちゃんこになりました。

 

液体がたまっているということは「のう胞」といって袋の中に水がたまる構造の病変のようです。

そのままにしておくとまた水がたまって膨らんできますので、一部外側ののう胞壁を切り取りました。

 

さて、どう治療しましょうかね。。。

おそらく内側には水分を分泌する細胞があり、表面の穴がそのままふさがるとまた同じように水ぶくれが再発しそうです。

そこで、内側を裏打ちしている内膜をレーザーで蒸散・凝固してみました。

うまく行けば分泌細胞が死んで水分の分泌が止まり、組織が再生すればきれいに治るかなーと考えました。

中は大きな空洞となっており、その中にレーザー器具を入れてあちこちくまなくレーザー凝固しました。

 

ちょっと痛々しい写真ですよね。

術後はしばらく口元を触るとちょっと怒ってましたが、ご飯はしっかり食べて元気に過ごせましたよ。

3週間後に再診に来ていただいた時にはいつもの優しい大吉ちゃんに戻って、口の中もあんぐりとじっと観察させてくれるようになりましたね。

その時の写真がコチラです↓

 

とてもきれいに治りました。

念のため悪いものじゃないかどうか調べるため、切り取った外側の膜を病理検査に送ってました。

悪いものじゃなくて一安心♪ きれいに治りましたのでこれで治療終了です!

 

歯根膜などから発生する歯原性のう胞は、人ではたまにあるケースですが、犬では非常にまれな病気です。

治療としては、のう胞を袋ごと摘出するのがセオリーなわけですが、後々調べてみると、過去には今回の治療と同様にレーザー蒸散した報告もあるようですね。

何年やってても見たことないような病気や症状は来るもので。。。本当に毎日が勉強ですねぇ…

 

「低リン低ナトリウム」の猫用ちゅ~るが新発売!

2020年11月24日 (火)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

猫ちゃんに大人気のいなばの「ちゅ~る」

「ちゅ〜る」という単語は、猫ちゃんが自分の名前の次に覚えている日本語といっても過言ではないのでしょうか…

その病院専用シリーズとして「エネルギーちゅ~る」というシリーズがあるのをご存知でしょうか?

左下の「低リン低ナトリウム」(まぐろ味)が新発売です!

 

新製品として先日、『低リン低ナトリウム』のちゅ~る(まぐろ味)が登場しましたよ!

低リン低ナトリウムというネーミングではなかなかピンと来ないようで。。。

普通のまぐろ味と何が違うんだろう??と思いますよね。

スタッフも「これは何?」と首を傾げていました。

簡単に言うと、腎臓病の猫ちゃんやシニア猫ちゃん用のちょっと罪悪感のないちゅ~るですね♪

 

メーカーの公表値では、普通のエネルギーちゅ~る(まぐろ味)と比べて、リンは約50%減、ナトリウム(塩分)は約65%減となっておりますので、少し安心して高齢猫ちゃんにも与えられますね~

 

うちの子は腎臓病だから、ちゅ~るはあげられないなぁ…塩分が気になるなぁ…という声はよくお聞きします。

もちろんこの製品も完全に腎臓病用に配慮した製品ではないですが、食欲が落ちてるけどちゅ~るは食べるんだよなぁというケースってありますよね。

そんな時にぜひ食欲アップの起爆剤として使ってみてください!

 

「でもナトリウム(塩分)も控えめっていうことは美味しくないんじゃないの!?」という声が。。。

そこでうちの腎臓病4にゃん🐾衆の出番ですよね。

 

現在、病院専用シリーズとして発売している3種類の食べ比べをしてもらいました。

結果は、動画の方でご覧ください!

 

いかがだったでしょうか?

新しい「低リン低ナトリウム」のエネルギーちゅ~る(まぐろ味)はヘルシーなのにかなり美味しいようですね~

通常のちゅ~るよりも水分が多いのか、サラッとしているので食べやすそう♪

正真正銘、一発勝負で撮影した結果なんですよ。

以前ブログでご紹介した『アミンアバスト』を与えるのにまさに最適ですね!

受付のところに置いてますので、ぜひお試しくださいね!

モウすぐ🎅🏻

2020年11月16日 (月)

こんにちは、田中(明)です🦔

モウすぐ12月ですね

オークでは今年もクリスマスの飾り付けをしました🎄

\ ワシは12月で20才じゃ👴🏻 /

7人のサンタを待ち時間に見つけると

良いクリスマスを迎えられるかも……?😎

\ 今月もフィラリア予防おねがいします /

口の中のガン(口腔内腫瘍)へのレーザー治療

2020年11月12日 (木)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

今回のブログは、ワンちゃんの口の中にできる悪性腫瘍(ガン)に対して、レーザー手術器を使用したお話をしたいと思います。

 

口の中にできるガンは比較的多く、いずれも局所浸潤(その場で奥に奥に広がっていく性格)が強いです。

最も悪い性格の悪性黒色腫(メラノーマ)は肺などに遠隔転移をすることもありますが、扁平上皮癌や線維肉腫といったタイプの腫瘍は、転移をしにくい代わりにジワジワと口の奥の深部に広がっていきます。

こういった口の中のガンに共通するのは、最終的には口の中の痛みや出血がひどくなり、お腹は空くのにご飯が食べれなくてどんどん衰弱していく…というとても残酷な病気なのです。

 

古くから現在に至るまで、口の中のガンに対しては「①顎の骨ごと大きく切除する」+「②術後に放射線治療を行う」or「③術後に抗がん剤を投与する」というのがセオリーです。

しかし、高齢なので大きな侵襲を伴う手術や毎回麻酔をかける放射線治療が現実的に難しい場合、あるいは体力的に術後のダメージが心配で…と飼い主さんが積極的な手術や放射線治療を希望されない場合がとても多いと感じます。

 

口の中にしこりができた場合は、まずどんなタイプの腫瘍なのかを調べるために、一部切り取って病理検査に出す必要性があります。

その際に私は、口の中にも以前のブログでご紹介したイボ取りと同様の蒸散・凝固処置を行っています。

(口の中はイボ取りとは違って全身麻酔が必要となりますが。。。)

 

すぐにまた大きく増殖してしまう場合も多いのですが、不思議とその後再発しないケースなんかもあったりするので、レーザー蒸散をすることの一定のメリットは感じております。

 

こんな子もいました。

口の中に『悪性黒色腫(メラノーマ)』ができたワンちゃんです。

左の上顎、犬歯〜奥歯にかけて黒いしこりで覆われています。

 

組織を取って病理検査に出して、良性か悪性かを調べます。

そのために全身麻酔をかけて切除を行い、その切った歯茎の部分にレーザーで蒸散・凝固処置を丁寧に行いました。

処置後の写真です。腫瘍があった場所が広範囲に炭化しています(焦げたようになっています)。

腫瘍を摘出後、残った粘膜を丁寧にレーザー凝固しました。 先程の写真では見えなかった犬歯や前歯、奥歯が見えるようになっています。

 

ちょっと痛々しく見えるかもしれませんが、処置後のワンちゃんは意外にも痛みはさほどでもなく、スムーズに食事を摂れることが多いです。そこは、レーザーによる鎮痛作用のお陰なのかもしれません。

 

その処置から7ヶ月経過後の、同じワンちゃんの口の中の写真がコチラです。

ホントかな?と思うかもしれませんが、正真正銘同じワンちゃんの処置後7ヶ月後の写真です。

 

ウソのようにどこにも腫瘍らしきものが見当たりません。。。

この子は、処置後に抗がん剤やその他の薬やサプリなども一切処方してないのに!です。

本当に悪性腫瘍なの??と疑われそうですから、病理検査の結果も載せておきます。

 

たまにこういったケースがあるからレーザーは良いなと思います。

もちろんメラノーマという腫瘍は、ものすごく増殖が早いものが多く、見つかった時点ですごく大きくなってしまっているような場合もあります。

そういった場合は、いくらレーザーで処置したからといってもすぐに再発してあっという間に増大してしまうことが多いのも事実です。

メラノーマにはすごく大人しいタイプのものも混ざってるのかな…という印象を抱くことがありますので、たまたまそういったタイプの初期病変であればこのように上手くいくのかもしれません。。。

もしかしたら、ガン細胞の親分である「がん幹細胞」にダメージを与えられたのかな?

あるいは、ガン細胞を壊すことにより、周りの免疫細胞にこんなやつがいるぞ!とお知らせをして、やっつけろ!とガン免疫細胞を活性化することが出来たのか…

うまくいった子の体内でどういったことが起きたのかは分かりませんが、たまにこういうケースもあるんです。

 

他の口の中の腫瘍の場合でも、大きく喉に増殖して気道を塞いでしまい、息苦しさを感じていたワンちゃんにも何度かレーザーで切除後に蒸散・凝固処置をしたケースがあるのですが、数回処置を行った後に大きくなるスピードが落ち、しばらくいい状態をキープできた子なんかもいました。

 

積極的に完治を目指すことが叶わないとなっても、本人のQOLを少しでも改善できるように役立ってくれると良いなと日々色々と考えながら治療を行っております。

今日のブログは長く難しくなってしまいましたが、気になった方は診察時にでもお尋ねくださいね!

 

カレンダーデビュー🐱

2020年11月04日 (水)

こんにちは!

田中です。

 

この度、我が家のモコ🐈が、カレンダーに載りました!

『365日のふくおかの猫カレンダー』という福岡県獣医師会企画のカレンダーの

9月10日に載りました。

 

このカレンダーは、猫のいのちを救うチャリティーカレンダーで、売上の一部があすなろ猫事業(のら猫への不妊去勢費用の助成)など、不幸な猫を増やさない・救うための活動に使用されるとのことです。

 

1部¥1,000なので、少し買いましたよ😄

かわいい猫がいっぱいのカレンダーです。

興味がある方は、一度手にとってみられてはいかがですか?

 

秋ですね🍁

2020年11月08日 (日)

オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

今年は豪雨や台風で夏がとても短かった印象ですが、最近は朝晩もかなり冷え込んできましたね。

こういう寒い季節への変わり目は、動物にとっても下痢などの消化器疾患や、頻尿・血尿などの尿路疾患、椎間板ヘルニアなどの病気が多くなる時期です。

普段動物たちが生活している環境も、寒くないかどうか一度見直してあげてくださいね!

 

さて、秋が深まるにつれて、お隣の福岡城址・舞鶴公園などでもそろそろ紅葉が始まる時期ですね。

私は先日のお休みで、秋を先取りすべく大分県の方にGO TOして来ました。

 

九州で一番早く紅葉が始まる場所をご存じですか?

正解は大分県のくじゅう連山の山頂付近です。

くじゅう連山の大船山の山頂にある御池や、くじゅうのシンボル三俣山の紅葉は本当にすごいんです!

今年も登りたいな~という気持ちを抑えつつ、家族旅行なので登山口の「牧ノ戸峠」を少しだけ散策♪ここのソフトクリームが美味しいんですよ~。 ドライブの際はぜひ立ち寄ってください!

登山口付近でも少し色づいてましたよ。

 

くじゅうから湯布院の方に走りまして…湯布院から別府方面に抜けるやまなみハイウェイのドライブが気持ちいいんですよ〜

途中の狭霧台という展望所から荘厳な由布岳を見上げます。。。

このルートのドライブは最高に気持ち良い!

 

別府で1泊して、翌日は今度は鶴見岳にも(^_^;

昨年の年末は霧氷見たさに-9℃の中を山頂まで行きましたが、今回は木々の色づき具合を観察です!

今回もインチキしてロープウェイで登ります。

 

山上駅に着いたら、まぁまぁ色づいてそうですが、気温は5℃ですからもう寒い・・・

ここから10分歩いて頂上を目指しますよ!

 

山頂までは歩いて10分。子どもたちもひょいひょいと登ります。

山頂付近からは、先程の由布岳がお隣に見えますよ。

 

天気にも恵まれてとても気持ちの良い旅となりました。

今回はただの「大分県の大好きなスポット」のご紹介となっちゃいましたね…(^_^;

 

くじゅう自然動物園でずーっとついてきた子ヤギさん

見てんじゃねーよ…