慢性腎臓病のサプリメント『アミンアバスト』販売開始!

2020年10月04日 (日)

 


オークどうぶつ病院けやき 前谷です。

本日は、10月より取扱いを始めた新しい腎臓用サプリメントをご紹介します。

 

 

製品自体は7月に発売しており、ずっと使いたかったサプリメントでしたが、なかなか入手の問題がありまして…この時期になりました。

すでに診察中にご紹介した方もいますが、この度取り引きのある代理店経由で簡単に入手可能となりましたのでコチラでもご紹介したいと思います。

 

 

どんな成分なの?

成分としては「アミノ酸」となります。アミノ酸は皆さん聞いたことがあるかと思いますが、筋肉などを作るタンパク質のさらに小さな構成成分ですね。

アミノ酸がなんで腎臓に効くの?と思われたと思います。

『アミンアバスト』には以下のアミノ酸成分が含まれ、その配合はAB070597という名前で特許を取得しています。

 

 

様々なアミノ酸が良い影響を与えてくれるとのことですが、特にL-アルギニン、L-ヒスチジン、L-カルノシンが重要で、それらを補うことで、「糸球体濾過量;GFR(腎臓の仕事量)を増やす」・「赤血球の生産を手助けする」・「BMP-7(骨形成タンパク質7)の生産を安定化させる」などの効果が期待できます。

BMP-7というのは、人の研究でも注目を浴びている成分で、腎臓の修復作用を持つタンパク質と言われますので、それらを増やすことで傷ついた腎臓組織が再生する可能性があるというわけです。

 

また、腎臓病の動物には腎臓病専用フードが与えられます。これらは腎臓に配慮して「低タンパク質」の組成になっておりますが、しばしばタンパク質を制限することによる筋肉量の減少などの問題点も指摘されています。

良質なアミノ酸をサプリからも補給することによって、筋肉や体重の低下を予防できる可能性もあると言えます。

 

 

本当に効果があるの?

アミノ酸を補給して腎臓病が改善するというのがやはり信じられませんよね。

このサプリメントの成分「AB070597」はすでに研究でその効能が示されているのです。

 

上記は海外の論文ですが、実際に腎臓病の猫ちゃんに、アミンアバストを投与したグループと投与をしていないグループとで成績を比較しています。

厳密に言うと同じ状況下においてランダムに投与群と偽薬群に分けて行った研究ではないので、その辺りは比較という意味では?な部分もあることは前置きしてはおきますが、結果としては以下の内容において効果があったことが明確に示されています。

 

1.血液中の老廃物クレアチニンが下がった!→すなわち腎臓病のステージが軽くなった!

2.血液中の老廃物リンが下がった!

3.体重が維持できた(落ちなかった)

 

詳細な内容は診察時にでも聞いていただければお答えしますが、サプリメントとはいえ、それが事実であれば結構バカにできないですよね。

しかも試験は104週間(2年以上の期間)で実施されてますので、腎機能の改善が長期間にわたって維持できたことを意味します。

そしてこの試験、フードは腎臓病用フードではなく一般食で行われていますから、純粋にサプリメントの効果をさらに裏付けるものとなってます。

「慢性腎臓病がいかに早期発見→早期治療が大事なのか」を身をもって知っている私たちにとっても、これは早い段階から推奨できる商品なのではと期待しております。

 

 

どうやって飲ませるの?

そうは言っても猫ちゃんは投薬が大変な生き物で…

「飲めなければ意味がないじゃない!!」という声がたくさん聞こえてきますね(^_^;;

中身はどんなものかというと

 

実はこんなに大きなカプセルで、このまま猫ちゃんに飲ませるのはいくら私でも至難の業と言えますね…

これを朝晩の1日2回飲ませるためにはどうするか。

中身を大好きな食べ物に混ぜちゃいましょうか。

アミノ酸ですから嗜好性は良く、好きなウェットフードに混ぜても食べてくれる可能性は高いです。

でも本当かな?と私も思いましたので、病院の腎臓病の猫ちゃんに食べさせてみましたよ。

 

 

今回は、ご覧の通り食いつき抜群!!のちゅーるに混ぜて与えましたのでしっかり食べてくれましたが、周りにこぼれた粉末状の中身にも気にせずお皿をなめてましたよね!

慣れない診察室の緊張感の中でも食べてくれたことを加味すると、おそらく好きな腎臓病用ウェットフードでも大丈夫じゃないかと思いました。

 

 

 

いかがだったでしょうか?

この『アミンアバスト』はサプリメントですから副作用を気にすることはありませんし、例えば腎結石があるとか、多飲多尿が出てきて腎臓が心配だとか、明確に治療が必要な慢性腎臓病の診断を受ける前でも早めから始めることができる商品だと思います。

論文は猫ちゃんでの治療効果を評価してますが、もちろん犬猫用なので、ワンちゃんへの使用も大丈夫ですよ。

もしブログを見て気になる方は診察時にぜひお声掛けくださいね!