アトピー性皮膚炎の新薬『アポキル錠』が発売開始!

オークどうぶつ病院けやきの副院長の前谷です。

今回は、新しく登場したアトピー性皮膚炎の治療薬についてです。

アポキル錠

 

これまで、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患による醜いかゆみに対しては、ステロイド剤が治療の中心となっていました。

 

しかし、短期間で使用する分はほとんど副作用の心配はありませんが、長期投与の場合は、全身的に様々な副作用が生じることが問題とされていました。

 

今回登場する新薬「アポキル錠」は、かゆみを脳に伝達する信号をピンポイントでブロックする新しいタイプの薬であり、ステロイドとの比較において、副作用がとても少ないことがメリットです

 

効果としては、臨床試験において、ステロイド(プレドニゾロン)と同等の効果が証明されています。

アポキル臨床試験

投与後4時間で急速にかゆみが減少するという結果も出ていますので、「かゆいことで皮膚を引っかく→引っかいた皮膚に炎症が生じる→さらなるかゆみや皮膚バリア機能低下で新たな感染症が生じる・・・」

といった『かゆみの悪循環』を断つことを目的に開発されています。

 

発売を心待ちにしておりましたので、7月中旬の発売以来、これまでステロイドを常備薬として飲み続けてきた方や、ひどいかゆみでお悩みのワンちゃんに処方をして来ました。

 

ステロイドを常備薬として使ってらっしゃった飼い主さんからは、ステロイド程ではないがかゆみは減ってる・・・という声もあり、ステロイドの効果を10とすると、アポキルの効果は6~8くらいかなという印象をもっています。

 

ステロイドは炎症も和らげるのに対し、アポキルはかゆみの信号をブロックし、脳への伝達を抑える薬剤なので、その辺りの効果としては仕方ない範囲内かなと。

 

しかし、副作用がほぼ心配いらないので、安心して継続できることが何よりのメリットだと思います。

 

一部のワンちゃんには、「すごくいい!」という声も頂戴しておりますし、投与後1週間以内で、皮膚の赤みが改善されていたりといった効果を実感できる症例も増えてきています。

 

副作用としては、嘔吐や下痢といった消化器症状が少数報告されています。

海外では長期投与(最長600日以上)の使用報告や、副作用を調査した米国での臨床試験結果もありますが、適正な使用を守っていれば、重大な副作用はほぼ心配がなさそうです。

 

当院でも、醜いかゆみを訴えるワンちゃんの治療薬の新たな選択肢としてご提案させていただいておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

※ 皮膚や全身状態によっては、アポキル錠を勧めないケースもあります。

 

 犬のかゆみ

 

発売元のゾエティス・ジャパンさんの特設サイト「犬のかゆみ.com」には詳しい皮膚病の病気や治療の説明が載っていますので、皮膚のかゆみでお悩みのワンちゃんの飼い主さんは、ぜひ一度ご覧ください。